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■溶射騒音の能動制御の可能性について
九州大学大学院工学研究院 雉本 信哉

1 はじめに
2 能動音響制御の原理および特徴
3 受動的音響制御と能動的音響制御を併用した減音効果
4 今後の検討課題
2能動音響制御の原理および特徴
 能動的音響制御は,図3 に示すように,騒音に対して逆位相かつ同振幅の制御音を発生させ,両者の干渉によって消音する手法である。図のように,制御音を発生させる二次音源(制御音源) を必要とするが,適切な制御音を発生させることができれば効果的な制御が可能となる。ただし,今回制御対象としているような大騒音の場合には,能動音響制御単独での制御では制御音源が発生すべき音量が非常に大きくなるため,通常のスピーカーなどでは実現が困難である。溶射ブースなど受動的な減音対策に能動騒音制御を併用することで更なる騒音低下を実現することが現実的な解決手段となる。制御音源としては,空間に固定されるものと,制御対象者とともに移動するものが想定できるが,
図3音波干渉
図3 音波干渉
後者の例として,既に市販されており簡単に利用可能なものとして,ANC(ActiveNoiseCancelling)ヘッドフォンがある。当ハードフェーシング委員会では能動的音響制御を体感する目的で簡便に入手できる機種を選定して受動的音響制御と能動的音響制御を併用した減音効果を確認することとした。