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■溶射騒音の能動制御の可能性について
九州大学大学院工学研究院 雉本 信哉

1 はじめに
2 能動音響制御の原理および特徴
3 受動的音響制御と能動的音響制御を併用した減音効果
4 今後の検討課題
4 今後の検討課題
 溶射騒音に対して,受動的手法,能動的手法を利用して,騒音の低減を試みた。その結果以下のことが明らかとなった。
  1. 溶射ブース内での騒音は,非常に大きく(120dB 超) また,広い周波数帯域を持つ(20kHz 以上の超音波領域まで含む) ため,能動音響制御の対象音とするには,大音量を発生させる制御音源の実現が困難であり,制御に多大なエネルギーが必要となることから現実的ではない。
  2. 多数の制御音源およびマイクロフォンを配置する必要があるため広い空間全域を制御することも現実的ではない。
  3. 一方,現在使用している溶射ブースは遮音効果が高く,付随する溶射制御室程度の制限された空間であれば能動的音響制御の対象として考慮することは可能である。
  4. 市販のANC ヘッドフォンを試したところ,受動的な遮音効果と能動音響制御による効果のいずれも確認することができた。

 このことから,溶射騒音に対して能動音響制御を適用するには,まずブースなどで受動的に減音した後に,制御室内など限定された制御空間を対象として実施することが現実的である。受動的手法と能動的音響制御手法を併用することで低周波数帯域から高周波数帯域までの効果的な騒音の低減が可能となる。 (2009 年9 月)