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WC/CoCr(HVOF)溶射皮膜 (樹脂による封孔処理を実施) |
塩水噴霧試験7日目以降、皮膜表面に亀の甲模様が僅かに観察されるが、基材である炭素鋼の腐食生成物は認められない。また、皮膜断面は極めて緻密になっており、気孔もほとんど認められず、基材の腐食はまったく認められない。したがって、塩水噴霧試験における本皮膜の「耐食性」は僅かに劣るが、「基材に対する防食性」はかなり高いと評価される。
なお、気孔はほとんど認められないことから、樹脂による封孔処理の効果がどの程度であったかは推測できない。 |
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WC/Cr3C2/Ni(HVOF)溶射皮膜 (樹脂による封孔処理を実施)
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塩水噴霧試験28日(672時間)後においても、皮膜表面は初期の光沢を保持しており、基材である炭素鋼の腐食生成物は認められない。また、皮膜断面は極めて緻密になっており、気孔もほとんど認められず、基材の腐食はまったく認められない。したがって、塩水噴霧試験における本皮膜の「耐食性」は極めて高く、「基材に対する防食性」も極めて高いと評価される。
なお、気孔はほとんど認められないことから、樹脂による封孔処理の効果がどの程度であったかは推測できない。 |
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グレーアルミナ(APS)溶射皮膜 (樹脂による封孔処理を実施) |
塩水噴霧試験1日目以降、皮膜表面の光沢は失われ、やや黒色に変化するが、基材である炭素鋼の腐食生成物は認められない。また、皮膜断面にも基材の腐食は認められないが、多数の小さな気孔が観察される。これより、本皮膜断面写真からは観察できないが、皮膜表面から基材に貫通する気孔の存在が推測される。しかし、樹脂による封孔処理の効果で基材の腐食は発生しなかったと推測される。したがって、塩水噴霧試験における本皮膜の「耐食性」は高く、「基材に対する防食性」も高いと評価される。 |
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クロミア(APS)溶射皮膜 (樹脂による封孔処理を実施)
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塩水噴霧試験1日目(24 時間)以降、皮膜表面の光沢は失われるが、基材である炭素鋼の腐食生成物は認められない。また、皮膜断面にも基材の腐食は認められないが、多数の小さな気孔が観察される。これより、本皮膜断面写真からは観察できないが、皮膜表面から基材に貫通する気孔の存在が推測される。しかし、樹脂による封孔処理の効果で基材の腐食は発生しなかったと推測される。したがって、塩水噴霧試験における本皮膜の「耐食性」は高く、「基材に対する防食性」も高いと評価される。 |
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ハステロイC 276(HVOF) 溶射皮膜 (樹脂による封孔処理を実施) |
塩水噴霧試験28日(672時間)後においても、皮膜表面は初期の光沢を保持していたが、樹脂による封孔処理をしたにもかかわらず、3枚の試験片の中の1枚に基材である炭素鋼の腐食生成物が点状に認められる。さらに、皮膜断面はかなり緻密になっているが、僅かに気孔や扁平していない粒子が認められる。これより、本皮膜断面写真からは観察できないが、皮膜表面から基材に貫通する気孔が存在することが推測される。したがって、塩水噴霧試験における本皮膜の「耐食性」は極めて高いが、「基材に対する防食性」はやや低いと評価される。 |
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硬質クロムめっき(サージェント浴)
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塩水噴霧試験1日目から、皮膜表面に基材である炭素鋼の腐食生成物が点状に認められ、試験の経過にしたがってその量は増加し、15日後には全面に広がっている。さらに、皮膜断面には表面から基材に貫通する気孔が存在し、基材の腐食が認められる。しかし、皮膜自体の腐食はあまり認められない。したがって、塩水噴霧試験における本皮膜の「耐食性」は高いが、「基材に対する防食性」はかなり低いと評価される。
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